『道について』小池昌代『黒雲の下で卵をあたためる』より
まとめ
知っている道を歩くときは,その道がもうひとつの道とどのようにつながっているか知っている。
知らない道を歩いて行くと知っている道に出る。知っている道を伸ばしていけば,知らない道に出る。
全ての道は二度目に通るとき,はじめての道から,知っている道へと変わる。
子供の時迷子になったあの感覚を今体感してみたい。繋がった絆を切ってしまいたくなるのはなぜだろう。
自分に一生縁がないであろう道を電車から眺め,心だけを歩かせてみる。
読後感
軽やかな文章だ。
現代人は迷子のこどもなのか。迷子じゃないとしたら,歩いている道は「知っている道」なのか。
語彙
- 理不尽…不条理。実存主義の用語としても使う。
- 道理…「理」は,単に客観的な合理性を意味するのではなく,本来そうあるべきと感じる主体の納得,価値判断につながるもの。