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インターネッツ

『トースト絵画』大竹伸朗『見えない音、聴こえない絵』より

まとめ ピカソの絵や一枚のトーストが芸術であるかどうかではなく,人それぞれが何を芸術と捉えるかという核心にたどり着く。 単なるテストトーンを聞いて深く感激してしまったジャーナリストのように,「内側で何かが起きてしまった」ことが重要な基準なの…

『自然を守るということ』森岡正博『環境倫理学』より

まとめ 自然のために自然を守るとは,人間の利益とは無関係に尊い自然を守るということだ。しかし,守られるべき自然は,恣意的な価値判断によって選択されている。 人間のために自然を守るとは,人間の利益になるように自然をコントロールすることだ。利益…

『リスク社会とその希望』大澤真幸『不可能性の時代』より

まとめ リスクの例として挙げられるのは,地球温暖化や都市近郊でのテロなど。もたらす損害は計り知れないほど大きいが,起こる確率は極めて小さい。 リスクを回避するときに,中庸の選択は無意味となる。民主主義は,多数の意見を中庸として採用するので,…

『ことばへの問い』熊野純彦

この文章は廣松渉著『もの・こと・ことば』に「解説」として収められている。 まとめ ことばで自然を表し尽くすことなどできない。ことばが存在しない世界でも,葉のみずみずしさや森の沈黙は存在するのか。いや存在しない。さまざまな自然の音は人間に対し…

『ふわふわ』鷲田清一『「ぐずぐず」の理由』より

まとめ 「ふわふわ」は,重力からの解放であると同時に,着地していない不安でもある。 現代人は,「ふわふわ」というよりも,「浮いている」「流されている」という感じだ。自分がここにいる理由が見つからない。自由な意思があるようで選ばされている。 い…

『絵画の二十世紀』前田英樹より

まとめ 鏡に映る自分の顔が,本当の自分だと信じたいが,現実は違う。残酷だが,写真に写る自分が本当の自分なのだ。 写真が登場する以前,絵画は,人の目に映り,写真には写らない景色を絵にしてきた。今,絵画に求められるものは,写真に写る現実ではなく…

『デジタルネイチャー』落合陽一 400文字要約と書評

要約 落合陽一はテクノロジーによって,近代の超克を図る。情報を圧縮することなく,〈現象 to 現象〉で滞りなく進行する世界を見据えている。十分に発達した科学技術は,人々の無意識化で実装され,自然がつくる生態系と見分けがつかない。 テクノロジーと…

自分の中に毒を持て

岡本太郎 感想 「一瞬一瞬に命をかけて生きろ。人生に命をかけていないから傍観者になるんだ。」強い言葉だ。周りからの評価などは全く気にせずに,ただひたすら自分と闘う。怖ければ怖いほど逆にそこに飛び込む。人間らしく生きる道のヒントが隠されている…

落合陽一はなぜ文脈を語るのか?「日本再興戦略」と「魔法の世紀」

落合陽一著の「日本再興戦略」が、1月31日に発売された。 当初このブログで、この本のまとめ的なものを書こうと思ったがすでに素晴らしい記事を書かれた方がいる。本の内容を整理したい方はこちらも併せて読まれたい。 落合陽一『日本再興戦略』 | つぶやき…

夏目漱石 夢十夜 第三夜の解釈

現代文の授業で取り上げられた、 夏目漱石の『夢十夜』第三夜。 解釈が面白かったので紹介します。 夢十夜とは 話の流れ 解釈 田んぼと森の対比その一、現在と過去。 田んぼは文明化の象徴 文明化について 分かれ道=文明開化 「右」が示すもの 田んぼと森の…