『陰翳礼讃』谷崎潤一郎「谷崎潤一郎全集」より
まとめ
漆器は闇の中においてこそ魅力を帯びる。豪華絢爛な模様も,暗い場所で少しずつ底光りするようにできている。
蝋燭の灯の中で吸い物椀を手にとる。吸い物椀を前にして,これから食べる物の味わいに想いをひそめる時,忘我の境地にひき入れられる。日本の料理は瞑想的だ。
われわれの料理は陰翳を基調とし,闇と切っても切れない関係にある。
読後感
鑑賞物だけでなく,鑑賞する場の設計まで考えられている東洋的な精神。目では見えないものの知覚。
語彙
- 瞑想…視覚を閉ざして思いを巡らせること。
- 余剰を催す
- 雅味
- よんどころなく
- 三昧境