『デジタルネイチャー』落合陽一 400文字要約と書評
要約
落合陽一はテクノロジーによって,近代の超克を図る。情報を圧縮することなく,〈現象 to 現象〉で滞りなく進行する世界を見据えている。十分に発達した科学技術は,人々の無意識化で実装され,自然がつくる生態系と見分けがつかない。
テクノロジーと人間が調和すれば,無限の多様性を内包しながらも,社会を全体最適化できる。
AIは人間の補集合であるが,一方で,AIは外れ値によるイノベーションを人間に起こさせる。短期的にリセットされ続ける市場の中で,AIと人間の両輪が,世界の領域を拡張していくだろう。
デジタルネイチャー以後,人間の枠組みを超えた知性が現れる。コンピュータに蓄えられた情報やネットワークに宿る意思は,数千年の寿命を持つ。そこでは〈人間〉と〈機械〉の二項対立はもはや存在しない。全体最適化による全体主義は,人類の幸福を追求しうる。
読後感
本書で語られる世界は楽観的だ。それは近代的な人間の殻を破ることに成功しているからだろう。
筆者の,テクノロジーの融和した今日の社会を,言語化する手腕は見事だが,さらにその先のデジタルネイチャーの世界までもまるで未来を見てきたかのように示してくれる。
じっくりと読みたいならば,手を取るべき本だ。
落合陽一『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』より
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きっと会話を盛り上げてくれるはずだ。