『小説とは何か』三島由紀夫『三島由紀夫全集』より
まとめ
新しい本を読むよりも,むかし感銘を受けた本を再読して,「小説」をそこに豊富に発見することがある。
『遠野物語』の一行。
「(幽霊が)裾にて炭取りにさわりしに,丸き炭取りなればくるくるとまわりたり」
この瞬間,幽霊が単なる主観から生じたものではなく,実在であることが示される。
小説には,現実を震撼させるような根源的な力が備わっていなければならない。長い叙述ではなく,一行に圧縮されていれば十分なのだ。
読後感
やむべからざる実質だ。
語彙
- 幻覚…実際には存在しないものを「感覚した」時に起こるのが幻覚。
- 一にかかって