『ことばへの問い』熊野純彦
この文章は廣松渉著『もの・こと・ことば』に「解説」として収められている。
まとめ
ことばで自然を表し尽くすことなどできない。ことばが存在しない世界でも,葉のみずみずしさや森の沈黙は存在するのか。いや存在しない。さまざまな自然の音は人間に対して現れているはずだ。
言語にならない思い,ことばに映しとりがたい感情といったものは,ことばの後に生まれてくる。
言語が境界を設定した時,「ことばにならない」とされるものが生まれる。言語が明確にするもの,明確にせず残るもの。言語こそがいっさいの可能性を準備する。
読後感
言語が生まれる前の世界は混沌だ。混沌は全てをはらんでいるわけではないということ。全てをはらむ可能性を与えるのが言語だということ。
語彙
- 分節化…言語の分析の際に,意味や音で分割すること。