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インターネッツ

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『無常ということ』小林秀雄『現代日本文学大系』より

まとめ 比叡山に行き,ぼんやりと辺りを眺めていると,『一言芳談抄』の中にある文章が心に浮かび,しみわたった。この経験は一体なんだったのだろうか。今はもう体感できない。美しさが消えたのか,それとも美しさをつかむ心身が消えてしまったのか。 死ん…

『神話する身体』安田登より

まとめ 能の稽古の基本は型を真似することで,方法などは特にない。師伝の通りできると,客はなんとも言えない感情に心動かされる。それはなぜか。個人の経験を超越した「思い」が立ち上がってくるからだ。 数千年前に古人は「型」の中に「思い」や「心(シ…

『ラップトップ抱えた「石器人」』長谷川眞里子

この文章は,2003年4月27日付の「朝日新聞」に発表されたものである。 まとめ これまでうまくいって安全だと思われているものは,次も安全だと誤謬されやすい。 科学技術が進んだ時代に生きる人類の脳は,この5万年において全く進化していない。現在の技術や…

『リスク社会とその希望』大澤真幸『不可能性の時代』より

まとめ リスクの例として挙げられるのは,地球温暖化や都市近郊でのテロなど。もたらす損害は計り知れないほど大きいが,起こる確率は極めて小さい。 リスクを回避するときに,中庸の選択は無意味となる。民主主義は,多数の意見を中庸として採用するので,…

『貨幣共同体』岩井克人『貨幣論』より

まとめ 貨幣それ自体にモノとしての価値は全くない。しかし,貨幣を使う共同体の中では,貨幣を使うことができる。貨幣共同体を成立させているのは,人々が貨幣を貨幣として使っているという事実のみである。 貨幣がモノと交換可能であり,貨幣が貨幣として…

『ポスト・プライバシー』阪本俊生より

まとめ プライバシーへの関心は高まってきている。一方で,プライバシー意識が低下してきたという指摘もある。 プライバシー意識が変わりつつある。かつて他人の視線は不気味なものだったが,今日のような個人社会では逆に他者に見られたい欲求すらある。 人…

『死と向き合う』清水哲郎

この文章は「思想」(2001年第ニ号)に発表されたもので,本文は同誌によった。 まとめ 死に対する希望はどこにあるか。死へと向かう目下の生それ自体にある。 希望を最後まで持つとは,現実への肯定的な姿勢を最後まで保つということ。 肯定的な姿勢の源は…

現代文の評論に共通した特徴について

評論の特徴まとめ 世間で常識とされていることを別の視点で捉え,新しい価値観を提示する。 例示や説明を変えて,同じ主張を繰り返す。 産業は時代とともに変化したが,文化や考え方は古いままではないのかという問題提起。 ブログについて 更新頻度は週に二…