2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧
この文章は廣松渉著『もの・こと・ことば』に「解説」として収められている。 まとめ ことばで自然を表し尽くすことなどできない。ことばが存在しない世界でも,葉のみずみずしさや森の沈黙は存在するのか。いや存在しない。さまざまな自然の音は人間に対し…
まとめ 「ふわふわ」は,重力からの解放であると同時に,着地していない不安でもある。 現代人は,「ふわふわ」というよりも,「浮いている」「流されている」という感じだ。自分がここにいる理由が見つからない。自由な意思があるようで選ばされている。 い…
メモ チャンピオンの定義(文中)…ある人のために代わって戦ったり,ある主義主張のために代わって議論する人。 みどり児…生後3年くらいまでの子供。嬰児。 小説家としてのハビット…兄の架空の問いかけに答える言葉を胸のうちに反芻することをかさねる。最初…
まとめ 知っている道を歩くときは,その道がもうひとつの道とどのようにつながっているか知っている。 知らない道を歩いて行くと知っている道に出る。知っている道を伸ばしていけば,知らない道に出る。 全ての道は二度目に通るとき,はじめての道から,知っ…
まとめ 文明開化で生活の程度は向上したが,生活はいまだ苦痛だ。日本は国内から開化したのではなく,外国から圧力をかけられて開化した。急な変化が起きたために,不自然な発達をした。 読後感 漱石は文明開化を批判する。 発展途上国は,先進国に追いつく…
まとめ 鏡に映る自分の顔が,本当の自分だと信じたいが,現実は違う。残酷だが,写真に写る自分が本当の自分なのだ。 写真が登場する以前,絵画は,人の目に映り,写真には写らない景色を絵にしてきた。今,絵画に求められるものは,写真に写る現実ではなく…
感想 父親は直接的に母親のことを伝えなかった。少年が道を踏み間違えないように,正しい人間になってもらうために,慎重な手順を踏んだのだ。 ラストの一行, ーほっそりした母の 胸の方まで 息苦しくふさいでいた白い僕の肉体ー。 この体言止めが,痛みの…
まとめ 言語でものを知覚するとき,知覚されるものそれ自体が持つ文脈や背景などは一切無視している。言語で知覚されたものは,概念的なものである。鳥・恋愛を知覚するとき,人は典型的な「鳥」・「恋愛」を知覚している。 現実で起こることは,全て物語の…
まとめ 実際に生起した過去ではなく,理想化された過去を懐かしむ。それがノスタルジアだ。 旅行の際のお土産は,個人の物語を残すために買われる。幼い頃のアルバム写真は,その人の理想化された過去だ。 ノスタルジアの視座で眺められたもろもろの事物は,…