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落合陽一はなぜモノをつくるのか? 『美意識』

先人たちの思想を踏まえ,今やるべきことを明確にするために文脈を理解する。という話を前回書いた。

落合陽一はなぜ文脈を語るのか?「日本再興戦略」と「魔法の世紀」 - choku-史上最強の仮想通貨入門

今回の記事ではより実践的な内容に踏み込み,落合陽一氏の身構えである『モノをつくる』ことについて深めていく。

 

 

 

 

 

 

 

なぜモノをつくるのか?

文脈を理解するのに加え,もう一つ重要なのは「手を動かして実際にモノをつくる」こと。思想で人々の心を変えるために研究し,作品を作る。モノをつくる落合陽一の姿勢をヒントに,一体どういうことなのかを考えてみる。

 

 

 

 

 

 

・研究者として

落合陽一が研究者としてつくるモノには、「多様性」というキーワードがある。多様性とは,みんながそれぞれ違っていても良いということ。一人一人に違う映像・音を届けるのも多様性。あらゆる場所・あらゆる環境で情報に接することも多様性といえる。

 

 

 

 

 

 

・アーティストとして

情報技術が現実を変える流れが加速すれば,人々の意識が現実世界に向いてくる。これは落合陽一が前提としている未来社会。人々の美意識がリアルな現実にある社会。そういった社会の中で評価される作品を,アーティストとしてつくっている。

 

 

 

 

 

 

・現実を変える時代

これまでの時代は,「どうやって画面の中にモノを出力するか」がテーマだった。CG技術が発展して,画面の中に情報が溢れるようになった。これからの時代は,「どうやって画面を飛び出して現実に表現するか」・「どのように現実世界を変えるのか」がテーマになる。

 

 

 

 

 

 

コンピュータで実装できる時代

自分の持つ思想を,コンピュータを使って実装できる時代になった。昔の哲学者たちは,思想を人々に語ることで共有しようとしたが,今はコンピュータで思想が実現できる。思想を思想だけでは終わらせずに,実際に動くものとしてつくることができる。

 

 

 

 

 

 

・原初的な感動

原初的な感動とは「触れたヒトの心を直接揺さぶる」ような感動のこと。例えば絶景を見たときに,無条件に沸き起こる感情。落合陽一は,コンピュータを使って原初的な感動を生み出したいと考える。落合氏のことばを借りれば,「心を動かす計算機」を作ろうとしている。

 

 

 

 

 

 

・言葉だけではヒトの心は変わらない

ニュースメディア・SNS・動画配信が飽和した社会では,ヒトの心を動かすのは難しい。映像や言葉だけでは,短期的にしか感動させることができない。ヒトの心を変えるには,現実に直接働きかけるモノをつくる必要がある。

 

 

 

 

 

 

・個人がメディアを持てる時代

個人がメディアを持つ時代はもう到来している。誰もが情報を発信できるし,より多くの人に影響を与えることもできる。企業やサービスの支援を借りずとも,個人to個人のやり取りは可能になっている。皆がメディアを持ち,現実世界が変わりゆく社会が来ている証拠かもしれない。

 

 

 

 

 

 

・未来の美意識

人々の意識が現実世界に向いてくる。このような未来は必ずやってくる。画面の中だけでなく絶えずリアルが変化し続ける世界。そのような未来の美意識において評価される作品を表現している。

 

 

 

 

 

 

 

・まとめ

  • 文脈を踏まえれば,今の時代はコンピュータでモノをつくれる時代である。
  • 画面から飛び出して現実世界を変えていく時代でもある。
  • 思想を表現し,人々を感動させるためにはモノをつくることが有効。

 

 

 

 

 

 

 ・作品群

 
例1)
Holographic Whisper(一人ひとりに届ける多様性)

『従来の可聴音のビームでは狙った人物以外に同一直線上に居る人にも聞こえてしまっていましたが、我々の点音源スピーカは狙った人物にのみ耳元でささやくように音を聞かせることができます。』以下のサイトより引用

http://digitalnature.slis.tsukuba.ac.jp/2016/08/holographic_whisper/

 

 
 
 
 
 
 
例2)
Pixie Dust(あらゆる場における多様性を生成)

『むしろ僕が目指しているのは、情報ハードウェアとしての「ディスプレイ」をその都度、動的に形成しうる環境の研究です。~そのときどきに応じた視覚メディアを生成してくれるようなアーキテクチャを構築したいのです。』魔法の世紀より引用

http://pixiedusttech.com/pixie-dust/

 
 
 
 
 
 
例3)
A Colloidal Display

『映像の性質を映写機だけでなく、スクリーン、物質の側の方でもある程度コントロールでき、正面と側面で見える映像も変えられる。しかもシャボン玉なので簡単に曲げられる。平面の質感表現なので、3次元のディスプレイを作るための準備としての「2.5次元」ディスプレイと言ったところでしょうか。』魔法の世紀より引用

http://digitalnature.slis.tsukuba.ac.jp/2012/05/a-colloidal-display-membrane-screen-that-combines-transparency-brdf-and-3d-volume/

 
 
 
 
 
 例4)
Fairy Lights in Femtoseconds

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『ここで僕が狙っているのは、通常のメディア装置の発想で視覚に属すると思われているような光を、触覚的に味わうことです。私たちは光には視覚が、音には聴覚が対応すると考えがちですが、それはテクノロジーが規定してきた条件にすぎません。~これによって映像と物質というパラダイムの間にあるものを表現しました。触覚のある映像は、ほとんど物質と区別がつかないからです。』魔法の世紀より引用

http://digitalnature.slis.tsukuba.ac.jp/2015/06/fairy-lights-in-femtoseconds/

 

 
 
 
 
 
 
例5)
Morph Scenery(映像と物質,風景と身体)

www.instagram.com

『我々は風景から物質性を失ってしまう。風景そのものの構成要素は物質であるにもかかわらず、透明な空気と透明な目のレンズを経て網膜に光が結像する頃には、風景そのものは二次元のイメージになってしまう。立体感のない遠景は、その象徴だ。』『物質性と映像性の間にアナログの光学装置を挟み込み、運動を持たせる。物質を伴う運動は我々の身体性を喚起し、物質性を感じさせる。』以下のサイトより引用

Morpho Scenery | Media Ambition Tokyom

 

 

 

 

 

 

 

終わりに.未来を予測する

『未来を予測する最善の方法は,それを発明することだ』by アラン・ケイ
「発明する」という言葉を,「モノをつくる」に置き換えてみれば当てはまる。

落合陽一は,現実が物理的に変化し続ける世界で評価されるモノをつくっている。

 

以上です。

作品は私の主観。

 

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