『日本文化私観』坂口安吾 『坂口安吾全集』より
まとめ
文学では,美しくさせるための一行があってはならない。「やむべからざる実質」が美を生む。実質の精神が小説の真骨頂であり,あらゆる芸術の大道なのだ。
美しさのための美しさは率直でなく,空虚だ。空虚なものは人の心を打たない。
公園をひっくり返して菜園にせよ。それが真に必要なものならば,必ずそこにも真の美が生まれる。
読後感
地下鉄の天井に張り巡らされた排気管。そこに美を感じることがある。無計画であるところに惹かれてしまう。不要なものをとことん取り除く美しさが,日本の共通した精神なのだろうか。